記事の内容
- 大学院に入るためにやるべきこと
- 大学院の決め方
- 学習の方針
院試対策は不可欠
大学で学びたいことを見つけ、それを大学院に進んで研究しようと思えることは大学生活において非常に幸運なことといえるでしょう。
そうでなくても、今通っている大学よりもワンランク上の大学院に進学して就職を有利にしたいというのも悪いことではありません。
他にも様々な理由から大学院進学を考えている方もいらっしゃることと思います。
ですが、多くの大学院では入学するために試験が課されます。
いわゆる「院試」ですが、これは大学入試と似ている一方でやはり異なる点も多々あります。
したがって、大学院に入るためには「院試対策」が必要不可欠なのです。
私は大学を卒業してすぐに大学院に進学しました。
大学院は学部時代にお世話になった早稲田大学に加え、進学先となった東京大学、さらには一橋大学を受験しました。
幸いにも受験したすべての大学院から合格をいただくことができました。
そこで、これから大学院の入試に望もうとしている方に向けて私が大学院受験で得た経験を元に、大学院に合格するための方法をお伝えしようと思います。
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本当にその大学院でいいの?

出鼻を挫くようですが、本当にその大学院に進学すべきかどうかは考えた方がいいです。
もっといえば「同じ大学だとしてもその専攻・専修でいいのか」ということです。
というのも「本当にそこで自分のやりたいことができるか」が大学院に入ってからは重要になってくるからです。
つまり、「○○について研究したかったのにそれを研究できる場所は今入ったこの専攻・専修ではなく、別の専攻・専修だった」となってしまえば、取り返しのつかないことになってしまうからです。
また本気で研究職を目指す方であれば、指導教官は非常に大事になってきます。
自分が専門としようとしているものをしっかりと指導することが可能なのかをしっかり確認するようにしましょう。
大学院受験においては大学の知名度や名声ではなく、自分が研究したいことを指導してもらえる大学に進むのも非常に重要です。
加えて、自分が研究したいものを指導できる先生がいたとしても、年齢の関係で退官してしまったり、別の大学に移動してしまっては元も子もありません。
別の指導教官がやって来たときに、自分の研究したいものが指導ができない場合、悲惨な想いをすることになります。
ですから、自分が進学したいと思っている指導教官についてもしっかりと確認するのが吉です。
自分が研究したい対象に関する指導の可否、指導教員の年齢(退官までどのくらいの猶予があるか)、指導教員の業績あたりは是が非にも確認しておきましょう(できたら指導教員の性格も知ることができたら後々指導教員との関係で悩まなくなるかもしれません)。
もちろん、博士課程進学を目指す方だけでなく、大学院で今所属している大学よりもワンランク上を目指す方でもこうした確認は必須です。
というのも、最低二年間は修論を出すために研究をする必要があるからです。
興味の無い専攻・専修に進学してしまっては入ってから地獄をみるはめになる可能性があります。
以上から、しっかりと自分は進学する先については慎重に吟味を重ねて決定すべきなのです。
POINT
- その大学院で、自分のやりたいことは本当にできるか
- 進学後に指導教官になる先生は、自分のやりたいことを指導できるか
- 進学後に指導教官が退官したり、別の大学に移動する可能性はあるか
- 就職を考えている人でも自分が研究できるくらい興味のある分野かどうか
日程や募集要項をしっかりと確認しよう

さて自分が進学したいと思える大学院が決まったら、次は大学院の入試日がいつかを確認しましょう。
大学院によっては夏しか試験を行っていなかったり(通例9〜10月頃)、冬だけしか試験をおこなっていなかったりします(通例1〜2月頃)。
そして院試の日程がわかったら、自分が進学したい大学院の試験日が「今日」からどのくらいの期間があるのかをまず確認しましょう。
というのも、大学院入試で重要になってくるのは受験日からの逆算だからです。
つまり、受験日まで日にちがどのくらいあるかによって戦略の立て方が異なってくるのです。
学習をどのように進めていくか戦略を練り、計画をたてることは重要なことといえます。
また願書の提出期間もそれぞれの大学院で決められています。
提出期限を過ぎてしまうと受験資格が認められない場合も非常に多いので絶対に確認するようにしましょう。
こうしたことを確認しつつ、もし1年以上期間がある場合は腰をすえて受験に取り組むことができます。
逆に残り日数が少ない場合、急ピッチで大学院入試に向けた勉強を進めていく必要があります。
他にも大学院ごとに、また入試の時期ごとに院試で必要となる課題・試験内容が異なる場合があります。
文系の大学院であれば「語学」はすべての大学院に共通して出題されるでしょうが、大学院によっては「専門知識」を問う問題が出題される場合があります。
また東京大学や一橋大学の夏入試では自分の専門分野の知識を論述させる問題が出題される一方で、冬の院試では卒論かそれに代わる副論文の提出が義務づけられることがしばしばです。
このように大学院入試では時期や大学院ごとに異なる試験課題が用意されているのです。
したがって、しっかりと募集要項を読み、自分が受験する大学院がどのようなことを要求しているのかを必ずチェックするようにしましょう。
POINT
- 入試日がいつか確認する
- 今日からその入試までを逆算して学習計画を立てよう。
- 願書の提出期限はいつかを確認する
- 募集要項を読み、入試で必要な課題・試験内容がなにかを確認する
過去問は早めに入手せよ

大学院入試においても大学受験同様に志望大学の過去問は絶対入手するようにしましょう。
東京大学であれば過去問は生協などで購入することができます。
他方、早稲田大学のようにホームページ上で公開している大学もあるため、その場合は大学のホームページにアクセスし、ダウンロードするようにしましょう。
ではなぜ大学院入試も過去問が大事なのでしょうか。
それは大学院の入試も大学入試と同じく「傾向」というものがあり、この「傾向」を掴むことが大学院合格への近道になるからです。
それぞれの大学院ごとに問題の形式や内容が全く異なっていることがしばしばあります。
異なる理由としては「その大学院がどのような学生を求めているか」が大学院によって異なるからに他なりません。
例えば、英語の試験が課される場合、最低でも研究で必要なレベルの語学力を持った学生を大学院側は望んでいるのであり、また専門科目の試験が課される場合、自分が研究する分野・領域の最低限の知識は受験生に身につけておいてほしいと大学院側は考えているのです。
ですから、院試の問題を手に入れることにより、こうした大学院側の出題意図を分析することができます。
そして、出題意図を分析するためにはまず問題を解いてみることが肝心です。
オススメは最新年(前年度)の問題を解いてみることです。
問題を解く際は時間も測りましょう。
1年分解いてみることで今の自分の力試しにもなりますし、どういった出題傾向があるかを肌で感じることができます。
また、もしあなたが大学の先生と仲が良いのであれば、その先生に自分の解答を見て貰うのもいいでしょう。
もちろん、そこまで仲のいい先生がいなくても、英語や第二外国語であれば語学学校に通うことで自分の解答を見て貰うことができたりします。
まずは過去問をできるだけ早めに入手し、できるだけ早くどのような問題が出るのかを分析するようにしましょう。
POINT
- 大学院試にも、それぞれの大学毎に「傾向」がある
- 傾向の分析をするために、できるだけ早く院試の問題を手に入れる
- 東大のように大学の構内で販売しているところもあれば、早稲田のようにネットで公開しているところもある
- 実際に問題を解いてみて、解答を仲のいい大学の先生だったり、大学院試に対応してくれる学校に通って添削して貰うとより効率的
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語学学習は必須

どの大学院を受けるにせよ、院試で必要となってくるのが「語学」です。
多くの場合、大学院入試では英語の試験が課されるのですが、大学院によっては2種類の言語を試験として課す場合もあります。
例えば、東京大学の大学院を受験する場合、専攻や学科によっては英語以外にもうひと一言語、つまり、第二外国語を選択して受験しなければならないケースがあります。
すなわち、もし仏文科を目指すのであれば、フランス語と英語で受験するといった具合に二言語の試験課題が出題されるのです。
その際、言語は自分が大学院に入って使用する言語を選択するのが一般的です。
大学院側はあなたが進学してから研究をしっかりと行うことができるかを試験を通してみたいのです(したがって、英語と第二外国語の組み合わせだけでなく、フランス語とドイツ語のように二外と二外で受験する人も極稀にいたりします)。
したがって、英語はもちろんのこと、第二外国語の学習は院試を考える上でマストな事項といえます。
また大学院の試験においては語学がもっとも配点が高いことが多いです。
論文や面接もたしかに重要になってくるのですが、語学の出来が試験を左右するといっても過言ではありません。
というのも、繰り返しになりますが、語学は大学院に入ってからも演習に参加したり、修論を執筆したりするときにも必要になってくるからです。
語学は大学院の試験対策になるだけでなく、大学院に入ってからも非常に重要な意味を持つのです。
まずは、自分がやりたいと思っている研究分野で必要な語学を見定めるようにしましょう。
もしまだフランス語やドイツ語が大学院入試に必要で、まだ学習を始めていないと言う方はこちらの記事(フランス語を勉強したい方へ。フランス語初心者のためのオススメ入門書【社会人・初心者向け】、【独語初心者】ドイツ語を独学でマスターする方法とその方針を解説【入門】)を参考にしてみてください。
英語やラテン語の学習方法に関しても今後記事にしていく予定です。
大学院は「語学にはじまり語学に終わる」ので、まだ語学のスタートを切っていない人は今日から始めるようにしましょう。
POINT
- 大学院入試では語学がもっとも重視される
- 語学は大学院に入ってからも大事
- まだ学習を始めていない人は今すぐにでも始めよう
大学院入試のための語学学習法はコチラ
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専門分野の問題

大学院によっては専門分野に関する問題(=専門科目)を課すところもあります。
したがって、その専門分野に関して一冊教科書(=概説書)を決めて勉強をする必要があります。
どのような参考書を選ぶべきかは問題の出題傾向によって異なってはくるのですが、その研究分野・領域を「網羅的に扱っているもの」といえるでしょう。
そして、その専門分野を概説している本の中で自分が「通読しやすい本」を選んで下さい。
とにかく第一に行うべきなのは自分の研究領域の全体を知り、専門的な内容・知識を網羅的に頭に入れておくことなのです。
また試験によっては、専門用語の意味を問うものであったり、専門用語や専門分野における「問題」に対して根拠を示しながら自分の意見を書くものがあったりします。
したがって、入試問題は必ず入手するようにし、自分が受ける大学院がどのような問題を出すかをしっかり把握するようにしましょう。
他にもこれは先生に許可をもらう必要が出てきますが、自分が志望する大学院が今所属している大学・学部・学科とは異なる場合、進学したい大学の講義や演習などに参加させて貰うようにしましょう。
というのも、その年に出題される問題はその年の授業で扱ったものであることが多々あります。
ですから、もし時間の都合が付くようであれば、自分が志望する大学院の先生にメールなどで連絡してみましょう。
授業に出させて貰うことで大学院に入ってからの雰囲気もつかめますし、院試対策にも繋がったりするのです。
加えて、自分が進学したい大学に在籍している人と友人になることも院試を有利にする方法の一つです。
というのも、自分が進学したい大学の情報を持っているのはなんと言ってもその大学にいる人です。
院試に受かった先輩の情報を入手しやすかったりと、その大学にいない人よりも情報が入ってきやすいのです。
友人が増えることで分担して授業に参加し、その年の授業内容を知ることができるため、院試の出題を予想することもできます。
もちろん、万遍なく勉強はしなければならないのですが、最後の最後でどこを見直すべきかを決める判断材料になります。
自分から話しかけるのは難しいと思いますが、授業に参加できるのであれば、その参加している授業の休講情報を聞くなどして、友人関係を築くのもいいかもしれません。
POINT
- 専門分野の試験がある場合、網羅性の高い概説書を教科書に決めて学習しよう
- その年の授業で扱った内容が院試に出る可能性もあるので、先生に連絡をして授業に出させて貰うことも院試対策になる
- 自分が進学したい大学で、友人を作ることにより院試の情報を入手することができるかも
面接より卒論の出来

語学や専門科目の試験の多くは1次試験として設定されています。
そして2次試験では卒論ないし卒業論文に相当する副論文に関する質疑応答であったり、そうした質疑応答を含む面接が課される場合が多いのです。
さて面接というとそちらにばかり気が取られてしまいますが、ここで一番大事なのは「卒論ないし副論文」の方です。
もちろん面接も重要なのはいうまでもありません。
ですが、面接はどちらかというと、その卒業論文や副論文がしっかりと理解されて書かれているかを確認するためのものだと思って下さい。
なによりも重要なのは卒業論文の出来なのです。
とはいえ、どのような卒論がいい論文だとは一概にいうことはできません。
しかしながら、一般的に言えば、いい論文とは新規性がある、論の組立てがしっかりしている、自分の論と対立する論をしっかりと論駁している、二次文献の操作が妥当、引用の仕方が妥当などが挙げられます。
良い論文が書けると言うことは、それだけ自分が書いている論文を理解していることになるので、面接での質問にもしっかりと答えることができます。
ですから、卒業論文を大学院側に提出する期限を守りつつも、時間をしっかりとかけて論文の製作にあたるようにしましょう。
またできたらで良いのですが、大学の先生や大学院の先輩などに読んでもらってアドバイスを貰うことができればしめたものです。
第三者の意見を聞くことで、自分の論文をブラッシュアップすることができるからです。
面接では自分の論文の「穴」、つまりうまく説明できていない箇所を質問されることになるので、先輩や先生に読んで貰えばその予行練習にもなるでしょう。
論文が課題として提出を義務づけられているのであれば、自分がもてる全力を尽くして最高の論文を書き上げるようにしましょう。
POINT
- 面接も大事だが、それよりも論文の出来が重要
- 可能なら先生や大学院生に読んで貰いアドバイスを貰う
- 面接では自分が書いた論文について質問されるので、良い論文を書くことはそのまま、面接での受け答えにも繋がる
終わりに
ここまで大学院に入るためにやるべきことを書いてきました。
思いかえせば私自身、大学院入試の時はどのように勉強をしていいのかわかりませんでした。
ですが、大学の教授に許可をもらい、授業に出させて貰った時に出来た友人と一緒に勉強を重ねていく内に「自分も大学院に入れるかもしれない」と思えるようになりました。
そうした大学院受験の中で気づいたことを今回の記事では余すこと無く書き記したつもりです。
大学院に入るためにはまず語学です。
これをやらない限り、希望の大学院に万が一入れたとしても入った後で苦しむことになるでしょう。
ですが、きっちり語学をマスターさえすれば、自分が研究したい対象に腰を据えて取り組むことができます。
みなさんが、どのような目的をもって大学院に進むのかはわかりませんが、みなさんが大学院に入るための力に少しでもなれるのであれば幸いです。
今後も大学院進学に関する記事をアップしていこうと思っております。
ここまでお読み下さりありがとうございました。
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