記事の内容
- 「パラグラフリーディング」とは?
- 大学院入試での使い方
- 研究でも卒論でも使える
- パラグラフリーディングを学べるおすすめの参考書
パラグラフリーディングとは何か
英語の文章を、それも研究書のような抽象度の高い文章を読んでいると、途中で何を言っているのかわからなくなってしまうことが多々あります。
英文解釈や単語学習をしっかりと積み重ねているのに、内容がわからないということがありうるのです。
こうしたことの原因は単純で、英文の主張を追うことができていないことに起因しています。
したがって、英文の主張を掴むための方法を習得する必要があるのです。
さて、そうした英文の主張を掴む方法としてメジャーな手法に「パラグラフリーディング」があります。
聞いたことがある方も多いでしょうが、「パラグラフリーディング」とは英文をパラグラフ(=段落)ごとに一つのまとまりとして捉え、文章全体の流れや主張を掴む読解方法のことです。
つまり、英語(ないし外国語)の文章が基本的に「一つのパラグラフに一つの主張」で構成されているという特徴を活かして読解するのが「パラグラフリーディング」なのです。
英文はトピックセンテンス(=主張)の他に、サポートセンテンス(=具体例など)に分かれ、パラグラフリーディングは段落の中からトピックセンテンスを見つけ出すのを容易にしてくれます。
そして、段落だけでなく、文章全体の主張をも把握しやすくしてくれるのです。
以上から、パラグラフリーディングは英文の内容把握に非常に便利な技法であるということができます。
パラグラフリーディングを大学院入試で活用する
ではパラグラフリーディングは大学院入試においてどのように活用することができるのでしょうか。
それはもちろん英語長文全体の内容把握において役立ちます。
大学院入試の多くは英文和訳問題が採用されており、下線が引かれた英文を日本語にするのが基本です。
ですが、そのまま下線部だけを訳そうとしても全くうまくいきません。
なぜなら、文章全体の内容がわからないとわからない単語があったり、文法的に絞りきれない構文があったりするからです。
また訳出した際にニュアンスが違ってしまったり、多義語の単語の意味を決定することができないといった問題も発生します。
したがって、下線部訳だからと言っても、文章全体の内容把握は必須と言わざるを得ないのです。
そしてこの文章全体の内容把握を行うにあたって役立つのが「パラグラフリーディング」に他なりません。
他の外国語試験でもパラグラフリーディングは応用することができるので、大学院入試をお考えの方は試験までに是非とも習得しておきましょう。
研究でも卒論でも使える
他にもパラグラフリーディングをおすすめする理由があります。
それは大学院に入ってからの研究や卒業論文で海外文献を読むときに重宝するからです。
というのも、大学院の研究やとりわけ大学院への進学を考えている学部生の卒業論文において、抽象度の高い海外文献(=研究書)を読む必要があるからです。
日本語の研究書でさえ抽象的で難解なのに、海外文献の読解とでもなればさらに難易度は上がります。
また日本語で読めば内容的にわかるのに、英語になった途端英語長文の迷路に迷い込んでしまうことも多々あります。
したがって、海外文献の場合は特に内容を段落ごとに要約しつつ把握していく必要があるのです。
そして、パラグラフリーディングはそうした英文の内容把握を容易にし、要約を作る際にも非常に有効な方法と言えます。
誤読は何よりも研究の敵であるため、そうした誤読をしないためにもパラグラフリーディングはマスターしておくべきなのです。
パラグラフリーディングを学習するにあたって
パラグラフリーディングを学習するためにおすすめの参考書をご紹介する前に注意しなければならないことがあります。
それは必ず英語の基礎力を高めた上でパラグラフリーディングを学ぶことです。
ここでいう基礎力とは文法や単語はもちろんのこと、英文解釈の学習をも含めます。
なぜなら、パラグラフリーディングは読解の総仕上げとでも言うことができる内容であり、文法や単語などの基礎力が有機的に繋がることで最高のパフォーマンスを期待することができるからです。
逆に言えば、基礎力が中途半端な場合、小手先の技術だけを磨くことになり、いくらパラグラフリーディングを頑張って勉強したところで全く英語力は向上しないのです。
またパラグラフリーディングとは一文一文の正確な読解というよりも、文章と文章のつながりを読む解くための方法です。
そのため、一文一文を正確に読解できなければ、文章同士の繋がりなど読み解けるはずもありません。
まずは英文解釈まで含めた英語の基礎学習をしっかりと行い、一文を正確に読解できるようになることが最優先に目指しましょう。
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パラグラフリーディングを学べるおすすめの参考書
パラグラフリーディングのストラテジー
パラグラフリーディングを学ぶための王道の参考書と言えるのが『パラグラフリーディングのストラテジー』シリーズです。
本書ではパラグラフリーディングの基本をしっかりと学ぶことができます。
本書は主張がどこで提示されやすいかやパラグラフリーディングを行う際に需要な「論理マーカー」が丁寧に解説されおり、正確に論理展開を追うことができるようになります。
またこのように論理展開を学ぶことによって、未知の単語を類推する方法を学習することができ、院試でわからない単語に出会った際に慌てることがなくなります。
大学院入試を考えるならば、まずは「読み方・解き方編」を学習し、それをマスターしたら「実践編 国公立大対策」に進むのがおすすめです。
何度も何度も繰り返し学習し、パラグラフリーディングの手法を自身の身体に徹底的に叩き込むようにしましょう。
パラグラフ・リーディングナビ 英文はこう読む
大学院入試対策もしつつ、じっくりとパラグラフリーディングの手法を身につけたいと考えている方におすすめなのが『パラグラフ・リーディング 英文はこう読む』です。
文章レベルが共通テストから中堅国公立大レベルのもので構成されており、文章レベルをあまり気にすることなく論理構成を学習することができます。
また本書は二部構成で「理論編」と「実践対策編」に分かれており、「理論編」で学んだパラグラフリーディングの手法を「実践対策編」で確認しつつ記憶に定着させることができます。
解説もパラグラフ単位や文単位で構成、展開、内容が表欄化されていてわかりやすく、語彙や文法・語法、構文の解説も非常に充実しています。
レイアウトの配色もよく、見やすいのもおすすめの点です。
『パラグラフリーディングのストラテジー』が自分に合わないなと感じる方はこちらの本を読んでみてはいかがでしょうか。
今井の英文読解パラグラフリーディング
日本におけるパラグラフリーディングの第一人者と呼べる今井氏が代ゼミ講師時代に手がけたのが『今井の英文読解パラグラフリーディング』です。
パラグラフリーディングが怪しい手法ではなく、正当な読解方法であることを世間に周知させたのは今井氏の尽力あってのことでしょう。
本書は出版年は古いですが、内容は未だ錆び付いてはいません。
いかに英文の主張を把握するかが丁寧に解説されており、本書をマスターすることで論理的に英文の内容を理解することができます。
抽象度の高い論文も本書の手法をマスターすることで対処が容易になります。
なお出版から年数が経ってしまっているため、レイアウトが古いのが玉に瑕です。
それでも内容は素晴らしいので、ぜひ本書を手に取って研究に活かしていただけたらと思います。
【番外編】ディスコースマーカー英文読解
パラグラフリーディングの本と少し異なりますが、番外編として一冊オススメの本をご紹介します。
それがこの『ディスコースマーカー英文読解』です。
本書はタイトルにもあるように「ディスコースマーカー」についての詳細な解説がなされている本になります。
ディスコースマーカーをマスターすることで、文と文、あるいはパラグラフとパラグラフ間の論理構成が明確になるのです。
本書で採用されている英文は東大、京大など難関大学の入試問題から選ばれており、大学院入試の対策としても利用することが可能です。
一文はきちんと訳せるが、長文を読んでいると内容がわからなくなってしまうという人におすすめの一冊です。
多読をして身体に染み込ませよう
ここまでパラグラフリーディングを学ぶ意義とおすすめの参考書について書き記して参りました。
パラグラフリーディングをマスターすることができれば、英語長文の内容把握で困ることは本当に少なくなります。
大学院入試でも大学院に入ってからの研究でも大いに活躍してれるのでできるだけ早く習得しておくことをオススメします。
そしてパラグラフリーディングの理論をマスターし終わったならば、どんどんと「多読」をしてパラグラフリーディングを身体に染み込ませましょう。
多読に用いる英文はしっかりとした解説がついているものか、大学院入試で出題されるレベルと同等のものにしましょう。
解説がしっかりとしているものならば、英語長文用の参考書を使うのが便利です。
中でも英文全体の構文が解説されているものを探してみるといいでしょう(参考:「」)。
また大学院入試レベルの英文をお探しならば、無料でネット公開されている大学院入試の過去問を利用するといいでしょう(参照:「【文系の院試対策】主要な大学院の入試問題(過去問)の入手方法一覧【まとめ】」)。
なおどちらを利用するにせよ、パラグラフリーディングの手法(ディスコースマーカーなど)を意識しつつ、パラグラフごとに自分なりの要約を作ると良いでしょう。
ガンガン多読をしてパラグラフリーディングを自分のものにしましょう。
ここまでお読みくださりありがとうございました。
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