記事の内容
- おすすめの英語長文問題集
- 英語長文問題集を活用する意義
英語長文問題集を活用する意義
以前の記事()でおすすめの英文解釈の本をご紹介しました。
これにより、これまで学習をしてきた基礎力、とりわけ英文法と英単語を英文読解に活かせるようになったわけです。
では今回ご紹介する「英語長文問題集」とは何のために活用するのでしょうか。
結論から言ってしまえば、それは「学んだ基礎力を実際に使えるようにするため」に活用するのです。
というのも、英文解釈の技術も含め、英語の基礎力は一度学んだだけではなかなか身につきません。
なぜなら、英語長文を読解する際、あらかじめどのような構文が出題され、どのような単語が用いられるか予告されているわけではないからです。
ですから、そうした一期一会の中、本当の意味で基礎的な項目を自分がマスターしたかどうかがわかってくるのです。
つまり、自分の英語力における「抜け」(=マスターしきれていない項目)を見つけることに役立つのです。
ここに長文読解の演習として問題集を用いる意義があります。
したがって、英語長文問題集を用いてさまざまな英語長文にチャレンジし、自分のマスターできていない基礎力を補強するために活用すべきなのです。
英文解釈でおすすめの参考書はこちら
長文問題集の選び方
ではどのような問題集を選んだらいいのでしょうか。
まず第一に挙げられるのは自分のレベルにあった参考書かどうかです。
自分が今現在学習しているよりも上のレベルだとわからないところだらけで自分のどこに抜けがあるのかわかりません。
逆にレベルが低いものだとどの項目もわかってしまい勉強にならないのです。
自分の今持っている実力にしっかりとあった参考書で演習を繰り返すことで、英語の実力をしっかりと伸ばすことにつながるのです。
また問題集の解説の充実度も重要です。
正直、英文をたくさん読むだけなら今の時代さまざまな方法があります。
ネットを駆使すれば、洋書だろうが英字新聞だろうが簡単に入手することができるからです。
しかし、当然のことですが、それらには解説がありません。
文法事項や解釈で躓いても、分厚い文法辞典を調べるなど自力で、それも時間をかけて調べるしか方法はないのです。
ですが、英語長文問題集の場合、特に躓きやすい箇所には解説があります。
解説を読むことで容易に自分のマスターしきれていない箇所の補填をすることができるのです。
しかしながら、解説の良くない参考書で学習を進めてしまった場合、わからないところを自分で調べるハメになってしまいます。
解説の充実した参考書を選ぶのは学習効率を上げるとともに、自分の弱点の克服につながるのです。
加えて、「問題の形式」も重要です。
大学受験とは異なり、大学院入試では「英文和訳」が出題されることが多いです。
そのため、選択問題の勉強をいくらしたところで大学院入試にはほとんど関係ないと言えます。
したがって、選ぶべき参考書は選択問題の解法が詳しく解説されているものではなく、英文自体の解説が充実しているものなのです。
他にもレイアウトだったり、問題量だったりが挙げられます。
レイアウトは完全に個人の好みですし、問題量も多ければいいというものでもありません。
薄い問題集をたくさんこなす方が勉強が捗るという方もいれば、腰を据えて分厚い問題集に取り組みたいという方もいらっしゃるでしょう。
そうした方々のために以下におすすめの英語長文問題集の特徴を記していきますので、ぜひ参考にしていただけたら幸いです。
おすすめの英語長文問題集【基礎編】
英語長文ハイパートレーニング
『英語長文ハイパートレーニング』は大学受験でも定番の問題集です。
この本の良いところはとにかくその解説の素晴らしいにあります。
本書は問題の解説だけでなく、長文自体の解説が他の参考書に比べてずば抜けています。
というのも、 本書は全ての英文を五文型(SVOC)で示しており、さらにその下に全訳が掲載されているという親切設計で構成されているからです。
そのため、英文解釈を一通り学んだ人が独学で英語長文の演習をする際に非常に重宝する参考書になるでしょう。
またレベル別に問題集があるため、自分の実力に合わせて問題を選ぶことができます。
各参考書の難易度もちょうどよく、一つ上のレベルの問題集に進む際も無理なくステップアップすることが可能です。
演習用の問題集で、1冊目に何をやったらいいか悩んでいる人はまずはこの本を手に取ってみることから始めてみると良いでしょう。
英文和訳演習
英語界のカリスマである伊藤和夫先生が著した問題集がこちらの『英文和訳演習』です。
大学院入試は基本的に「英文和訳」の問題が出題されるため、ピンポイントに対策を講じることができます。
本書最大の特徴は英文和訳問題に関する採点基準が示されている点にあります。
英文和訳はなんとなく日本語に訳したとしてもいい点数をもらうことはできません。
英文和訳問題で合格点を取るためには、その英文で使用されている文法や構文、語法などを生かす形で和訳しなければならないのです。
本書はそうした英文和訳で気をつけるべき事柄を演習を通して習得することができます。
大学院入試で英語を利用する人は、できれば「上級篇」まで終わらせておくのが望ましいです。
また伊藤先生の参考書で学習を進めてきた方はぜひこちらの参考書を使ってみると良いでしょう。
イチから鍛える英語長文
解説が詳しい英語長文問題集としておすすめなのがこの『イチから鍛える英語長文』シリーズです。
河合塾の『やっておきたい』シリーズの正統進化版とも言える本で、良質の英文が揃っています。
また問題の解説だけでなく、英語構文の解説も充実しているため、英文解釈の勉強にも使うことができます。
というのも、英文中のとりわけ難しい文章にSVOCが振られており、構文把握がしやすい設計になっているのです。
他にも英文の要約問題がついており、 大学院に入った後の研究で必要な力を養うこともできます。
レベルも四段階で設定されているため、無理なくステップアップすることが可能です。
大学院での研究まで見据えている方におすすめしたい一冊になります。
英語長文レベル別問題集
より細かく自分のレベルに合ったものを探したいという方におすすめなのが東進ブックスから出版されている『英語長文レベル別問題集』です。
「超基礎編」から「難関編」まで全6段階の中から自分に合ったレベルのもを選ぶことができます。
本書は一冊ずつが非常に薄いため、一冊を最後までなかなか終わらせることができない飽き性の人にマッチする本と言えるでしょう。
また中身も充実しており、全ての英文にSVOCが振られているため、文構造を可視化して学習することが可能です。
大学院受験をお考えの方は問題を解くというよりも、一文一文を正確に根拠を持って読解することができるかを心がけて学習するようにしましょう。
なお本書がおすすめな人としては、段階的にステップアップしながら学習することができるため「英語がそこまで得意ではない方」や、冊数が多いため「院試までにしっかりとした時間が取れる方」になります。
他にも他の問題集をやり尽くしてしまって、解説のある英語長文問題を探している人にもおすすめです。
関正生の The Rules 英語長文問題集
「スタディサプリ」を使って英語を学習している人におすすめなのが「関先生の The Rules 英語長文問題集」です。
スタディサプリや「英文解釈編」でおすすめした『ポラリス』で学習した内容の復習をすることができます。
また本書は読解・解法・構文に関する84個のルールを身につけることで、英語長文を読み解くことでできる作りになっています。
大学院入試において解法はあまり役立ちませんが、他の読解と構文に関しては非常に勉強になります。
というのも、本書は読解と構文において躓きやすいポイントが丁寧に解説されており、加えて、その解説も予備校の授業のようにライブ感があるのです。
文構造を正確に把握することに非常に長けているため、英語弔文が苦手な人におすすめの問題集ということができます。
英語長文問題精講
英語長文を学習する際の定番の参考書といえば『英語長文問題精講』シリーズでしょう。
ロングセラーとなっている本シリーズは良質な英文で構成されており、非常に学習効率の高い問題集です。
本シリーズは短い文章が多いのですが、しかし、その英文は一癖も二癖もある複雑な構文でできており、じっくり腰を据えて取り組む必要があります。
ですが、このシリーズの英文を読解できるようになれば大学院入試でも十分通用する英語力を身につけることができることでしょう。
なお解説は少し簡素であり、SVOCなどの文型の表示はないので使用する際に注意が必要です。
英語の実力がついてきた際に力試しの意味合いも込めて取り組んでみることをおすすめします。
大学院入試に特化した参考書
ここまで大学院入試を受験するにあたっておすすめの英語長文問題集をご紹介してまいりました。
大学院の場合、「英文和訳」が基本となるので、問題を解くというよりは文章を訳出していくような使い方がベストだと言えるでしょう。
したがって、大学院入試において、SVOCなど英文の構造が明示されているような問題集に取り組むことが重要といえます。
とはいえ、大学院入試と言っても「特別な英語」があるわけではありません。
やはり「英語は英語」なのです。
ですから、しっかりと英語の地力をつけることが大事になってきます。
しかしながら、大学院には大学院なりの出題傾向ないし出題形式があります。
その形式や傾向に慣れることは大学院に合格することを考えるならば重要なことと言えます。
相手を知らずに敵地に突入するよりも、地形や敵戦力を把握した上で突撃した方が勝率がいいに決まっているのです。
よって、ここでは大学院入試に特化した問題集をご紹介したいと思います。
詳解 大学院への英語
『詳解 大学院への英語』は数少ない大学院入試対策の参考書です。
本書は大学院で出題される頻出テーマ40題が収録されており、英文もさまざまな分野の論文から引用されています。
また本書の最大の特徴は「詳細な英文の解析」になります。
というのも、解説が単なる訳文の羅列などではなく、一文一文を図解して事細かに説明されています。
他にも「英文和訳」が主流の大学院入試において、訳出のコツなども丁寧に解説されているため大学院入試対策に非常に有効な一冊です。
大学院入試の過去問は基本的に解答がないため、大学院レベルの問題を解答付きで演習することができるのは最後の追い込みの時に絶大な効果を発揮します。
レイアウトが見やすいのも◎です。
是非、大学院を受験する方は最後の総復習として利用してみてください。
大学院入試の英文法
大学院入試に向けた英文法の総復習としておすすめなのが『大学院入試の英文法』です。
大学院の試験問題は論文から抜粋された英文で構成され、一文が非常に長く、複雑な構造であることが多々あります。
そんな難解な英文法を本書ではとりあげて解説がなされているのです。
その解説も図解を用いており、非常に丁寧でわかりやすい仕上がりになっています。
とりわけ本書の第4章の「論文特有の英文法」は一読の価値ありです。
英文法以外にも論文の論理構成だったり、主題の展開の仕方だったりと大学院入試だけでなく、大学院に入った後も役立つ情報を身につけることができます。
なお本書を学習する時期ですが、本番が近くなる前、できれば夏には一度本書を通読し、自分の英文法の抜けを確認するとともに、大学院入試で必要な英文法が何かを把握しておくと良いでしょう。
人文科学系大学院への英語 / 社会科学系大学院 英語問題と解答
大学院の過去問には赤本のように解答の載ったものはほとんどありません。
したがって、大学院の過去問を採点するには、参考書などを駆使して自己採点するか、あるいは大学の先生などに頼んで自分の解答を見てもらうしか方法はありません。
ですが、この2冊の問題集は大学院入試問題の解答を知ることができる数少ない問題集です。
出版社は違いますが、人文科学系と社会科学系の問題集がそれぞれ出版されており、人文系の問題集には英語だけでなく、フランス語の問題も掲載されています。
しかしながら、この2冊の本はいずれも2004年とかなり昔の院試問題を扱ったものであり、如何せん内容が古いです。
そのため、最新の問題傾向とずれていることがしばしばあり、必ず最新の過去問を入手してご自身が受験する大学院の問題傾向を分析する必要があります。
それでも大学院入試レベルの英文に解答がついている問題集が数少ないのも事実。
学習する優先順位は低いとはいえ、最後の最後に大学院入試レベルの問題を演習するために手に取るならば有効な一冊と言えるでしょう。
過去問に関してはこちら
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多読をしよう
以上が大学院入試でおすすめの問題集となります。
どれも英語力を高めてくれる参考書と言えますが、やはり大学院入試を考えるならば『詳解 大学院への英語』と『大学院入試の英文法』はいずれかのタイミングで学習することをお勧めします。
どちらも大学院を強く意識した参考書なので、きっと大学院合格を後押ししてくれることでしょう。
さて、問題集を学習し終えたからといって英語学習が終わりというわけにはいきません。
これからは学んだ知識をしっかりと定着させるために、そして学んだ知識が初見の英文に適用できるようにするために「多読」を行う必要が出てきます。
多読は英字新聞や小説などを読むのも結構なのですが、大学院を目指すのであれば大学院入試の問題を多読するのがお勧めです。
というのも、大学院入試の問題は今やネットで公開されている場合が多く、誰でも簡単にアクセスすることができるのです。
したがって、受験こそしないけれども、自分が挑戦する大学院と同じレベルの大学院の過去問を入手して多読するようにしましょう。
これにより大学院で出題されるテーマや文章のレベルに慣れることができるのです。
ただし、過去問を利用する際、必ずわからなかった英文や詰まってしまった英文法の確認を行うようにしましょう。
これを行わないと多読をいくらしたところで英語の知識は増えていきません。
解答はありませんが、参考書などを駆使して英文を自分なりに根拠を持って説明できるようにしましょう。
大学院の過去問に関してはこちらの記事(【文系の院試対策】主要な大学院の入試問題(過去問)の入手方法一覧【まとめ】)でまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
ここまでお読みくださりありがとうございました。
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