記事の内容
- 読解の勉強は必要か?
- フランス語読解のオススメ参考書
読解学習を始める前に
以前の記事(フランス語初心者のためのオススメの学習方法と戦略。基礎固めこそがフランス語を制す。)で、フランス語の学習方法について、自分の経験をもとにお話ししました。
そこでは、最初から読解は気にする必要はないとお伝えしました。
というのも、読解は一文一文の積み重ねであり、まずは一文をしっかり読めるようになることが重要だからです。
そのためにまずは、文法と単語の基礎力をしっかりと養うことが肝要なのです。
ですから、もし単語の勉強や文法の勉強が終わっていないのであれば、そちらをきっちりと学んでからにしましょう(詳しくは、フランス語を勉強したい方へ。フランス語初心者のためのオススメ入門書【社会人・初心者向け】や、フランス語力向上!初学者におすすめ仏単語帳をお読みください)。
そうした方とは異なり、しっかりと文法や単語を一通り押さえた人であれば、いよいよ読解の学習へと進んでいくことになります。
そこで今回は「フランス語文法を一通り学び終えた人が、フランス語を読解する上でオススメの本」を紹介したいと思います。
読解の練習は必要か?
私は先述したように読解に手を出す前に、まずは一文一文を正確に読めるようになることをオススメしました。
これを言葉通りの意味で通り受け取るのであれば、次のような疑問が出てきて当然のことと思います。
「一文一文を正確に読めているのであれば、読解の練習なんて必要ないのではないか」
つまり、「正確に読めている」ということは、「正しく読解できている」ということを意味するのではないか、という疑問です。
結論からいいますと、これは半分合っていて、半分は間違っていると言えるでしょう。
なぜなら、読解は文法や単語、そして構文をしっかりと抑えていなければ、読むこと自体が不可能だからです。
構文を取り違えただけで、文章の意味が大きく変わってしまうのです。
一例を出すならば、部分否定("ne 〜 pas absolument”)と全否定("ne 〜 absolument pas” )の違いです。
前者(部分否定)は「絶対に〜だとは限らない」という意味であるのに対し、後者(全否定)は「絶対に〜ではない」という意味になります。
後者(全否定)は、完全に否定をしていますが、前者(部分否定)の場合、完全に否定をしておらず、あくまでも限定的な否定となっています。
この両者を取り違えてしまえば誤読に繋がってしまいます。
したがって、文法や単語の知識は、やはり読解において必須の知識なのです。
しかし、読解はこうした文法や単語の知識に加えて、「作者の意図」を汲みとらなければならないのです。
つまり、その文章を書いた作者が「なにを言おうとしているのか」を理解しなければならず、ただ単に辞書を引いただけでは太刀打ちできない文章が存在するのです。
その作者の意図は文章全体を理解することでようやく見えてくるものなのです。
したがって、まさに「行間を読む」ためには、それ相応の訓練が必要となってきます。
西洋の言語は同じ単語での繰り返しを嫌う傾向があり、同じ内容のものが別の表現で示されることが多々あります。
これを正確に読み取ることができないと、話についていくことが出来なくなってしまうのです。
以上から、読解は単純に文法と単語を覚えたからといって、すぐに何でも読めるようになるわけではありません。
しっかりと作者の意図を掴み、その作者の思考の流れを汲み取る必要があるのです。
大学院入試などでフランス語を使う場合も、こうした作者の意図を反映させた訳を作らない限り決して合格は見えてこないと言えるでしょう。
フランス語読解におけるオススメの参考書
『フランス語を読むために—80のキー・ポイント』
簡潔にまとめられており、正確に作者の意図を汲み取るための訓練ができるのが『フランス語を読むために—80のキー・ポイント』です。
構成としては「文法編」と「表現編」に分かれ、例文とその解説、そしてそれをさらに深めるための「ポイント」と「探究」が付されています。
練習問題もありますが、そこまで詳しい解説がないのがたまに傷です。
とはいえ、誤読に繋がるような文法事項がしっかりと解説されており、解釈に役立つ項目ばかりなので、初級文法を終えた人には最適な本と言えます。
厚さもちょうど良く、何回も繰り返して学習ができる点もオススメです。
大学院入試を考えている人ならば、まずしっかりと身につけておきたい一冊です。
『フランス語解釈法』
一冊でより詳細に解釈を学びたいという人にオススメなのが『フランス語解釈法』です。
この本の目次を見て頂ければ分かりやすいのですが、基礎篇と応用篇に分かれ、躓きやすい単元をより細分化して丁寧に解説してくれます。
その最たる例として、一番最初に解説されるのが「比較」です。
日本語話者であるわれわれにとって、なじみがあまりない比較構文は躓きやすい箇所であり、それを豊富な例文と共に解説がなされています。
応用篇では読み応えのあるプルーストやボードレールなどの有名な文章を読み、基礎編で学んだことを活かしながら、長文を読む練習を行うことができます。
『仏文和訳の実際』
量を多くこなしたい人にオススメの参考書が『仏文和訳の実際』です。
この本は初等文法で学ぶ単元を扱っており、それぞれの単元毎にたくさんの問題を解くことができます。
しかし、この本には解説がほとんどないため、上記の参考書と共に問題集として利用するのが吉です。
それでも、基礎編では短文の問題が641問収録されており、応用篇ではちょっとした長文問題が121問収録されています。
大量に問題のシャワーを浴びることは、フランス語を学ぶ上で経験値になりますので、是非活用してみて下さい。
終わりに
ここまでフランス語の読解についてオススメの参考書を紹介してきました。
フランス語を読めるようになるには時間が必要です。
まずはしっかりと文法と単語を身につけること。
地味ではありますが、基礎をしっかりと固めることがフランス語を読めるようになる最短ルートになるのです。
そして、しっかりと基礎が身についたならば、上記で紹介した参考書に進むべきなのです。
一番オススメなのはフランス語読解の本を一冊勉強した後、解答がある問題を解きまくることです。
上手な和訳を参考にすることで、どのようにフランス語を訳すとうまくいくかが分かるようになってきます。
フランス語の和訳は経験値がものを言いますので、大学院進学を目指している人は特にやってみると実力がぐんと伸びることでしょう。
この読解が終われば、いよいよフランス語中級も見えてきます。
語学は日々の努力ですから、毎日少しでもフランス語に触れる時間をつくるようにしましょう。
ここまでお読み下さりありがとうございました。
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