記事の内容
- 英語初学者のための学習方法
- 英語は基礎が大事
- 学習項目の優先順位
はじめに
つい先日、センター試験の会場に向かう学生の後ろ姿を見ていたら、自分が大学受験をしていたことをふと思い出しました。
当時の自分は英語が苦手で、なにから始めてよいかスタートの時点でひどく迷ったことを覚えております。
今から英語学習をはじめようと思っている方も、きっと同じような思いを感じてらっしゃるのではないでしょうか。
かく言う私も田舎に住んでいたため、高校の授業以外に英語を学ぶ場所などなく、参考書を比較検討したり、友人からおすすめの英語のやり方を聞いたりして勉強方法を模索しておりました。
しかし、探せば探すほど、そして聞けば聞くほどわからなくなるのが英語学習。
したがって、受験勉強を乗り越えて早稲田大学に合格し、東京大学の大学院へと進学した私の英語学習の基本方針を4つの要点に絞ってお伝えしたいと思います。
英語力を高める4つの柱
英語も基礎が命
最初に英語を学ぼうとする人が陥る誤りは、英会話教室に通おうとすることです。
これは英会話教室に意味がないと言っているのではありません。時期尚早だ、ということです。
初学者の方が、英会話教室に通っても、ある程度はできるようになるかもしれません。しかし、ある程度以上に上達することは、残念ながらないでしょう。
なぜなら、英語に関する基礎を学習していないからです。
私の知り合いの英文学の教授が口を揃えていうのは、英語の基礎にしっかりと取り組んだ人と、ただ単に会話だけを勉強している人で、海外留学をした人の英語力の伸びが全く違うということです。
では基礎とは何でしょうか?
それは構文力と文法力です。
文法がしっかりとインストールされている人は、ライティングにおいても、会話においても、雰囲気で英文を書いたり話したりすることがなく、海外のレポートやスピーチでも優秀な成績を残すことができるのです。
英文を崩すのが上手い人はまず基礎を知っている。
英語にも「守破離」があるのです。
英語力=単語力
唐突ですが、言語とはなんでしょうか?
一般的に、言語とは世界を「分節化」する道具です。
分節化は簡単に言えば、言語ごとにある世界の切り取り方のことです。
例えば、日本語と英語で肉に関する分節化は異なります。
日本語においては「雌牛」「雄牛」という区別はありますが、英語においてはさらに区別が進んでおり、去勢されていない雄牛のことを “bull“ と呼び、去勢されている雄牛のことを “ox” と呼びます。
このように言語ごとに切り取って見える世界のありようは異なっているのです。
したがって、単語を知るということは英語をよりよく理解することにつながるといえるでしょう。
また英語には「多義語」というものがあります。
例えば、company という英語を見て「会社」という意味を思い出すことと思いますが、それだけでなく、この単語は「同伴」や「仲間」、「客」という意味ももっているのです。
もちろん文脈から類推して意味をとらえることもできるでしょうが、その分全体の単語でわからないものが多かったり、単純に類推したものが間違っていたりすると文意を正確に掴むことは難しくなってしまいます。
したがって、こうした理由からも単語を多く知ること、そしてその単語がもつ意味を多く知っていればいるほど、英語を正確に理解することが可能となるのです。
音読は行うべし
これは英語教師の多くが推奨している学習法ではありますが、正直なところそれだけで本当に意味があるのか疑わしいですよね。
特に初学者の方は、ただ読んでいるだけでは英語が身につくわけがないとお思いになることでしょう。
実際はその通りです。ただだらだらと音読しているだけでは、効果を得るのは難しいことでしょう。
そこで大事になってくるのは、英文の意味を意識しながら音読することです。
したがって、まずはしっかりと読解したテクストが必要になってきます。
しっかりと読解したテクストというのは、文法的にも構文的にもわからないところがなく、一文一文ごとの意味を把握していることを指します。
そしてこのテクストを何回もくりかえし読みます。
この反復が重要で、何度も読んでいくうちにそのテクストの内容も英文も覚えてしまうことでしょう。
このような状態になると、英文を英文のまま理解することができるようになります。
こうした状態になったら、そのテクストを離れ、別の文章で、そしてさらに別の文章でといった形でどんどんと繰り返していきます。
もちろん、以前に用いたテクストを時間をあけて音読することも良い復習になることでしょう。
また、音読はもしそのテクストにCDが付属しているのであれば、リスニングの勉強にもなります。
CDを聴き、その発音を真似しながらそれを音読するのです。
なぜこれがリスニングの学習になるのかといえば、例えば方言の訛りがひどい人と話す場合、その言葉を知っていなければ聞き取ることが難しいように、英語の発音も言葉も知らない場合、なにも聞き取ることができないからです。
したがって、英語を聞き取るための練習をするためには、やはり理解したテクストが必要になるのです。
これで聞き取る練習を積むことによって、英語の発音における癖や話し方をしることができ、リスニング力が向上するのです。
つまり、音読は絶対に行うべきなのです。
多読は後からでOK
これは最初のうちはほとんど必要ではありませんが、たくさんの英文に触れるということも重要です。
というのも英語には、ある分野で多く散見される単語というものが存在します。
それは例えば、ビジネスの世界ではあまり用いられないが、哲学の世界では頻繁に用いられる言葉です。
例えば、“dialectic“ という単語です。これは通例、「弁証法」や「問答法」などと訳出されますが、こうした単語は哲学的な文章を読まないと決して出てくることのない単語です。
また “position” という単語は哲学において、通例、「定立」と訳出されます。
このように専門的な分野になってくると、同じ英文と言っても、用いられる頻度が異なってくるため、自分が興味を持っている分野の英文を多読することによって、その分野の文章が読みやすくなってきます。
加えて、様々な分野の英文を読むことは、それぞれの分野で用いられる単語や表現を知ることができるがゆえに、豊かな語学感覚を身につけることができるのです。
もちろん、こうした多読は、正確に英文の文意を理解することができるようになってはじめて効果的になってきます。
ゆえに、最初から多読をするのではなく、英語の基礎力を高めることに集中しましょう。
そして、多読をする際は、自分より英語ができる人の日本語訳を横において行うと、より効果が得られることと思います。
多読を行おうと焦らず、まずは一文一文を大切にした学習を心がけてください。
最後に:まとめ
ここまで英語を学習するにあたってまず目を向けるべき、4点をお伝えしてまいりました。
もちろん、英語には会話であったり、英作文であったり、翻訳であったりと様々に勉強しなければならないことがあります。
しかし、最初のうちからあれもこれもと手を出しすぎてしまうと、ほとんどの人が失敗に終わってしまうことでしょう。
だからこそ、まずは英語の基礎を勉強するべきなのです。
特に重要なのは文法であり、構文であり、単語なのです。
これらがしっかりと身につけば、他のことはいくらでも容易に身につくことでしょう。
そして、こうしたことを身につけるためには、学習を継続することが大事であり、参考書であれ、教科書であれ、同じテクストを何度も反復学習することが大事です。
語学に容易な道はありません。
英語がすぐにできるようになったという人は、単に語学学習のコツを掴むのが早かっただけです。
自分も受験期において、英語には最後まで悩まされ続けましたが、諦めることなく継続した結果、今では硬筆な海外文献も読むことができるようになりました。
今日、英語学習を始めようと思ってこのページを読まれた皆様は、もう迷うことはありません。
一緒に英語の基礎力拡充に向けてスタートを切りましょう。