記事の内容
- 単位が取れるレポートの書き方(準備編)
- 参考文献の探し方
- 探した文献のまとめ方
- ウィキペディアについて
レポートには参考文献が必須
レポートには参考文献が必須となります。
というのも、レポートとは根拠付けを行いながら自分の主張を提示するものであり、参考文献は根拠付けをする上で最も重要なものだからです。
この根拠づけがなくては、客観性の担保されたレポートなど書くことはできません。
したがって、レポートの課題に則した参考書を選んで、論点をまとめる必要があるのです。
以上から今回はレポートに不可欠な参考文献にまとをしぼって解説を加えていきたいと思います。
一次文献と二次文献の違いを理解しよう
参考文献の探し方を解説する前に「一次文献」と「二次文献」の違いについて把握しておく必要があります。
「一次文献」とは研究や実験の結果、新たな考え方が提示されていたり、新事実が明らかにされているものをいいます。
一方、「二次文献」はその一次文献の新たな考えや新事実についての研究であり、一次文献を解説したり、補足したりしているものになります。
例えば、ドイツの哲学者フリードリッヒ・ニーチェは様々な著作を残しました。
ニーチェの著作、例えば『ツァラトゥストラかく語りき』などは新たな考え方を提示しているため「一次文献」となります。
一方、フランスの哲学者ジル・ドゥルーズは『ニーチェ』や『ニーチェと哲学』というニーチェ関連の本を二冊刊行しています。
この二冊はニーチェの著作についての研究をし、その成果をまとめたものになるため「二次文献」に分類されます。
多くのレポートの場合、参考文献として挙げるのは二次文献になります。
授業や演習で扱うのは一次文献であり、その一次文献に対して先生が解説を加えることが多いからです。
とはいえ、一次文献を自分なりに読んでみて、二次文献の議論とは異なった視点を提出できれば、さらにレポートの質は向上します。
是非二次文献と合わせて一次文献も読んで見るようにしましょう。
POINT
・「一次文献」とは研究や実験の結果、新たな考え方が提示されていたり、新事実が明らかにされているものをいう
・「二次文献」はその一次文献の新たな考えや新事実についての研究であり、一次文献を解説したり、補足したりしているものをいう
レポートの参考文献を探すには?
では早速参考文献の探し方についてお話ししていくことにしましょう。
参考文献の探し方はいろいろなやり方が存在します。
その中でもより汎用性がありそうな方法をご紹介したいと思います。
授業中に紹介されたものから探す
まずレポートの参考文献を探す上で基本となるが「授業で扱った文献をあたる」です。
授業では何かしらのテーマが設定されており、そのテーマに沿った人物が紹介されていることと思います。
しかしながら、そのテーマや人物について、先生もむやみに自分の主張だけを展開させているわけではありません。
多くの場合、先生もそのテーマや人物について二次文献、つまり研究書を利用しているのです。
したがって、先生が授業に使用している二次文献をまずあたってみましょう。
探し方としては授業中にレジュメが配られている場合、そのレジュメに参考文献として記載されていることが多々あります。
またレジュメがなくても、授業中に口頭で先生が紹介したり、またシラバスの授業内容の箇所に掲載されていたりしますのでチェックしてみるようにしましょう。
しかし、極稀にですが授業で紹介した二次文献はレポートに使ってはいけないとする先生がいらっしゃいます。
その場合も授業中で紹介された二次文献をあたってみて、その二次文献で引用されている書籍や論文などをあたってみると、レポートで使えそうな二次文献にたどり着くことができたりします。
ですから、何はさておき授業で参照・紹介されたものからあたってみるのが一番効率がいいのです。
POINT
・まずは授業で紹介された二次文献を探そう。
・レジュメやシラバスに掲載されていたり、先生が授業中に口頭で紹介していることがある
論文を探す
論文は手軽に検索することができ、かつ文字数もそこまで多くないため、参考文献として非常に便利に利用することができます。
中でも論文を検索する方法として最も手軽なのは CiNii Article です。
CiNiiを利用することで雑誌や論文集に掲載されている論文も含めて検索することができるのです。
CiNii は検索欄にレポートに沿ったキーワードを入力するだけで簡単に検索することができます。
しかも、ネット上で公開されている論文であれば無料でダウンロードして読むことができます。
他にも大学が独自に契約している論文検索用のデータベースが利用できたりします。
論文検索用のデータベースの使い方は、著者名やタイトル、キーワードを入力することで検索することができます。
また CiNii Article で検索した雑誌や論文集は大学の図書館に所蔵されている場合もあります。
大学図書館の「蔵書検索」から探してみるのもオススメになります。
以上のようにまずレポートの参考文献は手軽に入手できる論文を検索してみるといいでしょう。
POINT
・論文は参考文献として手軽に入手できるのでおすすめ
・CiNii Article からまずは検索してみよう。
・大学が独自に契約しているデータベースにアクセスして論文を検索することもできる。
・論文集や雑誌は大学図書館の「蔵書検索」から探すことができる
研究書・専門書を探す
研究書や専門書も代表的なレポートの参考文献候補となります。
研究書・専門書とはある限定されたテーマに関して「狭く深く」研究されたものになります。
したがって、レポートのテーマと同じ内容をあつかっている二次文献を見つけることができたら、それだけでレポートを作ることができます。
さて、研究書・専門書を探す方法はいくかあります。
1つがネット検索をすることです。
Amazonなどで調べてもいいですし、自分が所属している大学図書館から検索をかけても調べることができます。
2つ目は論文で使用されている参考文献から探す方法です。
論文の多くは、その論文と同じテーマを扱っている研究書・専門書を引用しています。
したがって、レポートテーマに似た研究書や専門書を簡単に見つけることができます。
おすすめは最も出版年が新しい本を選ぶことです。
出版年が新しいものほど、古典とされる研究書・専門書を抑えつつ、最新の研究動向や新しく出版された本などが盛り込まれています。
3つ目は先に紹介したレジュメ、シラバスなどから調べる方法となります。
この3つが代表的な例であり、ほとんどの場合はこれでレポートに必要な専門書や研究書が見つかることと思います。
POINT
・研究書・専門書はレポートの代表的な参考文献の候補。
・ネット検索、論文や研究書などの参考文献から探してみよう。その際、出版年が新しい本から探してみるのがおすすめ。
先輩に聞く
入っているサークルなどで同じ学部・学科の先輩がいたら、その先輩を頼ってみるのもいいでしょう。
というのも、同じ学部・学科であったり、所属している学部の多くの人が受講する一般教養などであれば、前年度と似たレポート課題が出されている可能性があるのです。
したがって、身近なところに先輩がいる場合、前年度にどのようなレポートが出たかを聞いてみるといいでしょう。
しかしながら、前年度の先輩が書いたレポートを丸々コピーして提出するのはNGです。
というか絶対にやってはいけません。
もし先輩の書いたレポートをそのまま提出した場合、剽窃・当用となり、その学期の単位がすべて無効になるだけでなく、最悪の場合退学になってしまう可能性もあります。
参考にするのはあくまでも参考文献程度にとどめ、コピーしたり、ちょっとだけ文章を変えて提出するようなことは絶対にしないようにしましょう。
POINT
・同じ学部や学科に先輩がいて、かつ前年度に同じ授業を取っていたら、レポート課題が今学期と同じだったか聞いてみよう
・前年度とレポート課題が似ている場合は、参考文献で何を使ったか聞いてみよう
・先輩が書いたレポートをコピーして提出するのは剽窃・盗用にあたるのでぜったいにやめよう
ウィキペディアは基本使えない
レポートを書く際に、ウィキペディアから引用することはやめましょう。
たしかに最近のウィキペディアはとても参考になる記載が多々あります。
しかし、ウィキペディアはどのような人が書いたかがわからないため、レポートの主張を補強するものとして提示するには根拠に欠けてしまうのです。
したがって、レポートにおいてウィキペディアからの引用は、基本的に参考文献にはならないのです。
とはいえ、ウィキペディアは参考程度に読むことは全く問題ありません。
レポートの課題についての外観を知ることができる場合があります。
引用としては使えませんが、自分が課題について知るための導入として利用することはできるのです。
探した文献をまとめよう
ここまでレポートの参考文献を探す方法について解説してきました。
では集めた参考文献はどのように使ったら良いのでしょうか?
したがって、ここからは集めた参考文献の活用方法について解説していきたいとおもいます。
レポート課題になっているテーマを探す
まずは探しだした参考文献の中から課題に沿った内容の箇所を探し出す必要があります。
探し方としては、まず「目次」から内容的に近そうなものを探すのがおすすめです。
多くの場合、章や節のタイトルには、その章や節で扱っている重要なキーワードが含まれています。
ですから、タイトルをパラパラとめくってみて、今回のレポート課題のテーマと関係がありそうなキーワードを探してみましょう。
また「索引」が巻末に付いている場合もキーワードを駆使してレポートのキーワードを探し出すことができます。
「索引」とは本の中に出てくるキーワードや事項が一覧にされており、そのキーワードや事項が出てくるページ数がどこかを示してくれているものです。
したがって、キーワードが頻出している箇所を探してみると、レポートに必要な箇所にたどり着くことができることが多々あります。
とはいえ、冒頭から読まないと内容が理解しにくいこともあるので、その場合はがんばって最初から読むようにしましょう。
POINT
・「目次」や「索引」に含まれているキーワードからレポート課題に必要なテーマが掲載されている箇所を割り出そう
・とはいえ、冒頭から読まないと内容が理解できない場合もある
議論を追う
探しだした参考文献の中からレポート課題に適した箇所を見つけ出したら、次はその箇所の内容を把握しましょう。
内容を把握をするコツは2つあります。
まず一つ目のコツは「段落毎に要約を作る」ことです。
これは「パラグラフリーディング」と呼ばれ、各段落を一文程度でまとめていく手法になります。
基本的に一つの段落には主張が一つだけ含まれています。
したがって、その主張が何なのかを精確に把握することが文章読解の鍵となるのです。
そして文章の内容把握ができているかどうかは、その内容を精確に相手に伝えることができるかどうかによって判断することができます。
ですから、段落を一文で過不足なく説明できるようにまとめることが重要となります。
パラグラフリーディングを行う上で注意すべき点は、補足的な内容や具体例などは省略することです。
補足的な内容や具体例は、内容をわかりやすく伝えるために複数の文にまたがって説明されています。
したがって、具体例をまとめてしまうと一文でまとめることが非常に難しくなってしまいます。
こうしたことから具体的な部分ではなく、抽象的に主張を提示している箇所をまとめるようにしましょう。
また二つ目のコツは「対比」に注意しながら読解することです。
ほとんどの学術論文や学術書では、著者の主張に対する反論を提示し、その反論に対して批判を加えて自分の主張の方に説得力があることを示します。
したがって、レポートで扱う箇所で著者の主張に対する反論が示されていた場合、丁寧に議論を追いかけないと誤読してしまう恐れが出てきてしまうのです。
対立を追う場合は「接続詞」に注意しつつ、ノートなどに主張を分けて記入していくのがおすすめです。
とくに「逆接」の接続詞に注目すると反論を読み取ることが容易になります。
というのも、逆接の接続詞の前後は語られている内容が別になることが多いからです。
また議論を主張Aと主張Bにわけ、ノートにまとめていく作業も重要になります。
ノートにまとめることによって、議論が構造化されて理解しやすくなり、要約を作ることがより簡単になるのです。
最期に、この段階で課題のレポートで引用できそうな箇所をまとめておくと便利です。
文章を Word などに抜き出し、出典やページ数もメモしておくと後々の作業が楽になります。
POINT
・段落ごとに一文程度の要約をつくる
・著者の主張とそれに対する反論をしっかり掴むために、接続詞に注目しつつ、ノートに議論をまとめよう
・課題のレポートに引用できそうな箇所をまとめておくと便利(引用文やページ数など)
全体を要約する
一段落ごとの要約が終わったら、扱う箇所全体の要約を行いましょう。
全体の要約とは、それぞれ要約した段落に貫徹している主張を読み取ることです。
段落には対立する考えを提示している箇所だったり、自分の主張を提出している箇所だったりと、様々な役割があります。
そうしたいろいろな役割がある中で、自分の主張を明確に提示している箇所を中心にまとめていくのです。
パラグラフリーディングの箇所でもお伝えしましたが、全体の要約を作るときも具体例や補足的な説明は省略するようにしましょう。
具体例や補足的な説明ではなく、直接的に自論を展開している箇所をまとめるとコンパクトにまとまりやすいです。
このように全体の要約を作っておくことで、引用する参考文献がどのようなものかを明確に提示することができ、レポートが読みやすくなります。
また難解な文章の場合、読んでいた論文や本の内容を忘れたり、少し混乱してしまうことがしばしばあります。
その時に全体の要約や一段落毎の要約がある場合、読み返すことが容易になり、再読の手助けとなります。
レポートの課題で少しでもいい評価が欲しい人は、是非手を抜かずに要約を作るようにしてみましょう。
POINT
・全体の要約を作り、要約した段落全体に貫徹する主張を読み取ろう
・全体の要約を作るコツは「段落毎の役割」に注目し、その役割の中で自分の主張を展開している箇所を中心にまとめること
・全体の要約や一段落毎の要約はレポートを読みやすくするだけでなく、自分が再読する際の手助けにもなる
レポートでの自分の主張との繋がりを見つける
しかしながら、論文や研究書をただ要約しただけでは、そのままレポートで使えるようにはなりません。
どのようにしたら要約した内容が自分のレポートで活かすことができるかを考えなくてはいけないのです。
つまり、論文や研究書と自分が書こうとしているレポートとのつながりを探さなければならないのです。
つながりを見つけるコツとしては、自分がレポートで主張したいことに近いことを言っていたり、反対の立場にある主張を探してみたりするといいでしょう。
そして、要約した内容に対して自分の解釈を付け加える必要があります。
もし解釈が加えられていなければ、ただ要約した内容を継ぎ接ぎしているだけになってしまうからです。
論文や研究書などの参考文献に対して、自分は「肯定的な立場」にいるのか、または「否定的な立場」にいるのかを示しましょう。
そしてなぜその立場に立つのかを説明しましょう。
参考文献に対する立場を明確にし、その立場に立つ理由を示すことで説得力のあるレポートにすることができます。
POINT
・要約した内容と自分のレポートの主張とのつながりを見つけよう
・要約した内容に対して自分の解釈を付け加えよう
出典は忘れずにメモする
前回の記事(【文章ルール・書式編】)で参考文献の載せ方に付いて解説しました。
文献を引用したり、参考にしたりした場合、必ず出典を明記しなければいけないのでした。
よって、参考文献をまとめているこの段階で出典をメモしておくと非常に便利です。
多くの場合、レポート課題の参考文献は購入せずに、図書館などで借りて使うことでしょう。
ある本を参考文献として利用して返却した後に、出典をメモするのを忘れていたことに気づき、慌てて図書館に行くと他の人が既に借りてしまっていた、なんてことがあったらどうでしょうか。
借りた人次第では、レポートの提出期日に間に合わなくなってしまう可能性が出てきます。
ですから、リスクを回避する意味でも参考文献を読んだら出典をメモするクセを付けましょう。
メモをとるものはスマホのメモアプリでも、Word でもなんでもいいです。
書籍の場合は、1/授業名、2/本のタイトル、3/出版社、4/出版年、5/ページ数を。
論文の場合は、1/授業名、2/雑誌や論文集のタイトル、3/論文のタイトル、4/巻数、5/出版社、6/出版年、7/掲載ページ数をメモするようにしましょう。
最低でも上記の内容は法主ですが、他にも必要そうな情報に思えたらメモしておくと後々役に立つかもしれません。
POINT
・参考文献はメモアプリなどを利用して必ず出典を控えよう
・書籍の場合は、1/授業名、2/本のタイトル、3/出版社、4/出版年、5/ページ数をメモしよう
・論文の場合は、1/授業名、2/雑誌や論文集のタイトル、3/論文のタイトル、4/巻数、5/出版社、6/出版年、7/掲載ページ数をメモしよう。
次回はいよいよ執筆編
ここまでレポートの参考文献の探し方と扱い方について解説をしてきました。
参考文献はレポートに説得力をもたせる上で非常に重要な位置を占めます。
したがって、どんなに良い主張を考えることができたとしても、参考文献をいい加減に扱ってしまえばレポート自体の評価が低くなってしまう原因になってしまうのです。
だからこそ、しっかりとレポートにあった参考文献を探し出し、その内容を把握してレポートに引用する必要があります。
是非今回ご紹介したことを適宜参照していただき、レポート対策をしていただければと思います。
さて、次回はいよいよ【レポート執筆編】に入っていこうと思います。
ここまで、レポートを書くまでにいろいろな準備をしてまいりましたが、この準備がいよいよ花開きます。
是非最期までご覧いただけたらと思います。
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