記事の内容
- 単位が取れるレポートの書き方(レポート執筆編)
- アウトラインの作り方
- レポートの論理構成の仕方
- PREP法について
- 一段落内の展開方法
レポートは順序立てが大事
これまでレポートを作成するためにいろいろな準備を進めてきました。
今回はレポートを執筆するために重要なポイントについて解説していきたいと思います。
さて、レポートを執筆するにあたって重要なこととはなんでしょうか。
レポートの執筆において重要なこと、それはズバリ「論理性」になります。
論理性とは、事柄を根拠を示しながら順序立てて説明することです。
この論理性をしっかりと示すことができない場合、レポートは説得力を失っていい評価を得ることが難しくなってしまいます。
では論理性はどのようにして示すことができるのでしょうか。
それを今回は解説していきたいと思います。
レポートの論理構成
レポートにおける3つの構成要素(序論・本論・結論)
論理性を示すためには、レポートの「論理構成」を考える必要があります。
論理構成の基本は以前の記事(【【レポートの基本編】)で紹介しました。
簡単に振り返るならば、レポートは大きく分けて3つの要素から構成されます。
つまり、その3つの構成要素とは1/序論、2/本論、3/結論文です。
序論でテーマ設定と問題提起をし、本論でそのテーマと問題設定を展開し、結論部でまとめをするのが基本的な流れとなります。
まず序論では何についてのレポートかを明示し、このレポートで検討する問題点を明らかにします。
またここでは、この問題点に対して自分がどのような立場に立つかも示す必要があります。
続いて、本論では序論で提示したテーマについての検討を行います。
問題点について検討を重ねながら、自分の主張を参考文献を参照して根拠付けていくのです。
そして最後、結論部において議論のまとめを行い、自分の主張を再度提示します。
以上、序論・本論・結論が大まかなレポートの流れとなります。
レポートにおける3つの構成要素
- 序論(テーマ設定、問題設定、自分の主張の提示)
- 本論(自分の主張の展開、根拠付け)
- 結論(自分の主張の再提示)
レポートで基本となる論理構成(PREP法)
論理性がしっかりとしたレポートを書くのにおすすめの手法が「PREP法(プレップ法)」になります。
「PREP法」とは「1/結論(Point)」、「2/理由(Reason)」、「3/具体例(Example)」、「4/結論(Point)」の頭文字に由来し、1/から4/の順番に論理構成をしていく方法です。
PREP法はまず簡単に1/主張を提示してレポートの趣旨を読者、つまり先生に伝えます。
これは先の説明であれば序論にあたります。
次にその主張に対して2/理由付け、もっと言えば、参考文献を用いて根拠付を行います。
これにより、自分の主張に説得力をもたせることができるのです。
また自分の主張に関する3/具体例も挙げましょう。
具体例を入れることで抽象的な議論がわかりやすくなります。
これら2/理由と3/具体例は、先の説明ではともに本論にあたります。
最後に4/結論ですが、再度自分の主張を提示します。
これにより、自分の主張がレポートに置いて首尾一貫していたことを示すことができるのです。
以上が PREP法の基本的な構成になります。
抽象→具体→抽象の順番に議論を展開するため、論理展開が明確なためどんなレポートにも利用できます。
論理構成に悩んだらまずはこの4つの公式に自分の議論を当てはめてみてください。
PREP法
- 結論(Point):簡単な主張
- 理由(Reason):主張に対する根拠付け
- 具体例(Example):わかりやすく解説
- 結論(Point):主張の再提示
アウトラインをつくろう
アイディアが浮かんだからといっていきなりレポートを書き始めるのはあまりおすすめできません。
行きあたりばったりで書き出しても論理構成に綻びが出やすく、文章自体もだらけたものになってしまいがちです。
ですから、まずはレポートの論理構成を意識しつつレポートのアウトラインを作成していきましょう。
アウトラインとは、レポートに書く内容を構造化することです。
構造化することによって論理構成が可視化され、段落構成や文章の構成ができるようになります。
したがって、以下ではアウトラインを作る具体的な方法について解説を加えていきたいと思います。
序論
テーマ設定の仕方
序論で提示すべきことは「テーマ設定」と「問題提起」、そして「自分の主張」でした。
まずテーマ設定から考えてみましょう。
テーマ設定を考える上で一番大事なのは、しっかりとレポートの課題に即しているかどうかです。
レポートとは前回記事(【レポートの基本編】)でも解説したように、先生に対する「報告書」を意味します。
ゆえに、先生が指定した課題の条件が達成されていなければ、いくら秀逸なレポートを書いたとしても単位をもらうことはできないのです。
ですから、テーマを設定する際は必ずレポートの課題を確認し、課題に沿ったテーマを選ぶようにしましょう。
さてテーマ設定の方法ですが、「5W1H」を意識しながら考えてみるといいでしょう。
「5W1H」とは、「Who(だれが)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「What(なにを)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」 という疑問詞の頭文字をとったものです。
この6つの疑問詞に即して考えてみることで、レポートのテーマが考えやすくなります。
では実際に映画に関するレポートが出題されていると仮定してテーマ設定をしてみましょう。
5W1Hの例
映画論における一例
[Who] 黒澤明における「サムライ」概念
[When] 戦前映画と戦後映画の差異
[Where] 日本とフランスにおける映画の役割の違い
[What] 映画における「雨」の役割とはなにか
[Why] なぜ現代日本において傑出した映画監督が現れないのか
[How] どうしたら邦画はハリウッドを超えられるか
このように「5W1H」を意識することでテーマを比較的容易に設定することができるようになります。
よって、テーマ設定をするときは「5W1H」に沿いつつ、紙やメモアプリなどに書き出していきましょう。
POINT
・5W1Hを意識しながらテーマ設定を行おう
・5W1Hとは「Who(だれが)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「What(なにを)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」という6つの疑問詞の頭文字をとったもの
問題提起の仕方
テーマ設定の次は問題提起の仕方についてです。
問題提起とは設定したテーマに関しての議論の「切り口」をつくること、言い換えれば、議論をするための「出発点」を設定することなのです。
したがって、問題提起をするには議論の「切り口」の作り方を知る必要があるのです。
では議論の「切り口」はどのように作り出せばいいのでしょうか。
議論の切り口を作るコツは主に3つあります。
議論の切り口をつくる3つのコツ
1/世間一般的に賛否両論がある
2/問題の原因が複数考えられる
3/自分から積極的に議論することができ、解決策が提示できる
以上の3つが議論の切り口をつくるコツになります。
それでは順番に解説を加えていきましょう。
1/世間一般的に賛否両論がある
1/「世間一般的に賛否両論がある」に関してですが、議論を作るには普遍的問題を扱った方が簡単です。
よくある例を挙げれば「死刑制度があった方がいいかどうか」という問題提起があります。
死刑制度については肯定する人もいれば、否定する人もいるでしょう。
したがって、肯定/否定の判断があるということは議論となる問題提起となっていることを意味するのです。
2/問題の原因が複数考えられる
また2/「問題の原因が複数考えれる」ですが、こちらもどの原因が真に正しい原因かで議論することができます。
例えば、「なぜ若者は本を読まなくなったのか」という課題が出されたとします。
この例では「本以外の娯楽が増えたから」「本以外に文章を読むことができるメディアが増えたから」などと複数の原因を考えることができます。
複数の原因を示すことができるということは、議論することができる問題提起となっていると言えるのです。
3/自分から積極的に議論することができ、解決策が提示できる
最後に3/「自分から積極的に議論することができ、解決策が提示できる」ですが、このコツも非常に重要となります。
というのもレポートはある程度の文章量が要求される課題です。
文章量が多い場合、苦手なテーマを選んでレポートを書こうとすると、筆がなかなか進まなくなってしまいます。
したがって、レポートの課題に沿いながらもできるだけ自分の得意な分野・領域で書くようにしましょう。
そして、解決策が提示できる問題を議論の出発点に置くことも大事なことです。
レポートでは問題を設定し、その問題に対する解決策を提示しなければなりません。
ですから、最初から解決策がある問題をレポートの課題に設定することができれば、ほとんどレポートはできたも同然になります。
解決策が提示できる問題設定がないか、レポートを書き始める前にじっくりと考えてみましょう。
なおレポートは自分の好き嫌いで議論するのではなく、「論理的に自分の主張を展開できるか」で考えるようにしましょう。
「論理的に自分の主張を展開できるか」で考えるほうが論旨がきれいなレポートに仕上がります。
POINT
・問題提起とは議論の出発点をつくること
・世間一般的に賛否両論あるものは肯定派/否定派に分かれるため議論が作りやすく、複数の原因が考えられる問題もどの原因が本当に正しいかを競うことができ議論の出発点になりやすい
・自分が積極的に議論ができるものや解決策を予め用意することができる場合もレポートが書きやすくなる
自分の主張
テーマ設定と問題提起が終われば、あとは自分の主張を提示するだけです。
自分の主張は先に挙げた問題提起に対して自分がどのような立場にいるかを明示しましょう。
つまり、その問題に対して自分は肯定しているのか、否定しているのかを提示するのです。
立場を明確にすることで、本論での議論をより分かりやすく伝えることができます。
また自分の主張を提示するときは端的に書くことがおすすめです。
もし長々と自分の主張が書かれていた場合、文章が間延びしてしまい、主張がわかりにくくなってしまいがちです。
自分の主張は簡潔ながらも過不足なく書くようにしましょう。
POINT
・問題設定に対する自分の立場(その問題に対して肯定か否定か)を明示しよう
・自分の主張は端的に過不足なく書くようにする
本論
章立ての仕方
さて、ここからは本論についての解説に移っていきます。
まず章立ては「どこにどのようなことが書かれているか」を分かりやすく示すために作ります。
章の構造
章立ては「章」「節」「項」の順にツリー状の構造をなし、章の中に節が、節の中に項が包摂されます。
番号で示すときは、章が「1.」「2.」など、節が「1. 1」「1. 2」「2. 1」など、項が「1. 1. 1」「1. 1. 2」「2. 1. 1」などのように示します。
考え方としては、「章」から「項」にかけてある内容をどんどんと深堀りしていく、あるいはより具体的に検討していく形となります。
例えば「野球の歴史」という「章」を作ったとしましょう(上記の画像参照)。
その場合、「節」は「野球の歴史」に関係するより具体的な内容で分けます。
野球の場合、日本のプロ野球(NPB)以外にもアメリカのメジャーリーグ(MLB)がありますので、この2つの歴史について考えることができます。
そしてさらに具体的な内容に踏み込んでいく場合、「項」を使うことができます。
今回の例で言えば、 NPBの歴史をいくつかに分割することができ、例えば「黎明期」「ドラフト以前」「ドラフト以後」のように分けることができるのです。
このように、章立ての基本は「章」から「項」にかけて一貫した内容をもちながら、具体的に展開されていくのです。
章を変える
では章が変わるのはどのような時でしょうか。
章が変わるのは「別の内容に話が移行する時」です。
つまり、ある章で展開されていた内容と別の内容を展開する必要が出たときに章が変わるのです。
例えば、ある章で野球の歴史について話を展開していたが、論旨が変わり、バスケットボールの歴史に話が移る時に章が変わります(下記画像参照)。
このように章は内容次第によって適宜変更をしていきましょう。
また章立てを考えるタイミングですが、本論の展開をある程度考えた上で行うことがおすすめです。
レポートをどのように展開させるかを決め、その展開に応じて、各内容を各章、各節などに割り振っていきましょう。
なお章や項などのルールについては【文章のルール・書式編】で解説していますので適宜参照してください。
POINT
・章立てとは「どこにどのようなことが書かれているか」を分かりやすく示すために作るもの
・「章」「節」「項」の順にツリー状の構造をなし、章の中に節が、節の中に項が包摂される
・章立ての基本は「章」から「項」にかけて一貫した内容をもちながら、具体的に展開される
・章が変わるのは「別の内容に話が移行する時」
・章立てを考えるタイミングは本論の展開をある程度考えた後がおすすめ
本論の展開の仕方
それでは本論の展開の仕方について解説していきましょう。
本論の展開の仕方にはいろいろな方法が存在します。
ですが、とりわけ本論を展開させる上で大事になってくるのが、1/自分の主張の根拠付け、2/批判するべき反論の提示、3/具体的に噛み砕いて説明するの3つとなります。
1/自分の主張の根拠付け
本論で一番重要なことは、これまでもたびたび言及してきたように自分の主張に対する「根拠付け」です。
自分の主張に対して根拠付けを行うことによって、その主張に客観性をもたせ、説得力のある文章にするのです。
したがって、本論においては自分の主張を補強してくれる参考文献を見つけ出し、その参考文献の文章を引用する必要があります。
もちろん、闇雲に引用すれば良いわけでありません。
しっかりと自分の主張に合致する箇所を引用する必要があるのです。
またただそのまま参考文献の内容をまとめたり、要約して引用すればいいわけでもありません。
その参考文献に対する自分の解釈を必ず入れる必要があるのです。
詳しくは【レポート準備編】で解説していますのでコチラも是非参照してみてください。
さて「根拠付け」を行う論の展開の仕方としては「自分の主張」→「根拠付け」の順に行っていきます。
「根拠付け」の段階では、自分の主張を補強してくれる参考文献の解釈から入ってもいいですし、参考文献の引用から入ってもいいでしょう。
どちらから書き始めても良いのですが、できたら参考文献の解釈も引用もどちらも入れるようにするとより説得力のある文章になります。
根拠付けの仕方
- 自分の主張の提示
- 参考文献などを引用して根拠付け
POINT
・自分の主張を「根拠付け」、説得力のある文章にするために参考文献を引用する
・「根拠付け」においては、参考文献の解釈も引用もどちらも入れるようにしよう
2/批判すべき反論の提示
続いて、自分の主張に対する反論も提示しましょう。
反論を提示し、その反論に対して自分の主張の優位性を示すことができれば、自分の主張をより説得力をもたせて提示することができるのです。
反論の提示の仕方も「参考文献による根拠付け」と同様に、参考文献を探して自分の主張と対立する主張を引用します。
したがって、参考文献の解釈が必須となることは言うまでもありません。
反論を提示するにあたっての、論の展開の仕方は「反論の提示」→「反論の参考文献引用」→「自分の主張との対立点の提示」→「自分の主張から反論を批判」となります。
まず反論を提示し、その反論を詳しく解説しましょう。
反論がどのような根拠に基づいて、どのように展開されているかを自分なりに解釈してまとめていきます。
次にその反論と自分の主張との対立点を明示します。
反論と自分の主張はどのように、どの点で対立しているかなどを精確に示すのです。
そして最後、自分の主張から反論を批判します。
引用した反論がどの点で誤っているのか、あるいは何において根拠付けがうまくいっていないかを明らかにするのです。
そして自分の主張が逆に反論よりも説得力があり、根拠付けがしっかりなされていることを示しましょう。
むろん、ここでも自分の主張を提示するときは参考文献などでしっかりと根拠付けを行います。
このように論を展開することで分かりやすく、客観性の高いレポートにすることができます。
反論の提示の仕方
- 反論の提示
- 反論に関する参考文献引用(反論にどのような根拠でもって説明されているか)
- 自分の主張と反論との対立点の明示
- 自分の主張から反論を批判し、自分の主張の優位を示す
POINT
・反論を提示し、その反論に対して自分の主張の優位性を示すことで、より説得力のあるレポートが書ける
・反論を提示するときも、反論を批判して自分の主張の優位性を示すときも参考文献を解釈して引用しよう
3/具体的に噛み砕いて説明する
具体例の提示も文章をわかりやすくすることができ、レポートでは必須の手法となります。
というのも、基本的にレポートの文章は抽象的なものになりがちです。
その抽象的な文章を具体的な例を用いて説明することで、わかりやすい平易なものにすることができるのです。
また具体例を用いて説明できるということは、内容をしっかりと理解できているという証拠にもなります。
なぜなら難しい文章であればあるほど、自分の言葉で説明することが難しくなるからです。
抽象度の高い文章を自分なりの言葉で噛み砕いて説明することは、単に抜書だらけのレポートよりも評価が高くなります。
さて、具体例を提示する論の運び方ですが、「自分の主張」→(「参考文献の引用」)→「具体例」の順に展開させましょう。
自分の主張をまずは提示し、その主張について参考文献を解釈して根拠付を行います。
ここまでは抽象的な内容が続いていることが多いので、その次に具体例を提示してわかりやすく説明を加えましょう。
もちろん、場合によっては参考文献の引用をせず、自分の主張をした後に具体例を提示しても構いません。
また噛み砕いて自分の言葉で説明できるようであれば、どんどんと行っていきましょう。
レポートは相手に伝わらない内容だと意味がありません。
なるべくわかりやすい文章を心がけましょう。
簡単な流れ
- 自分の主張
- 参考文献による根拠付け(引用)
- 具体例の提示 / 噛み砕いて自分の言葉で説明
POINT
・抽象的な文章を具体例で説明したり、自分の言葉で噛み砕いて説明するとわかりやすいレポートになる
・特に自分の言葉で噛み砕いて說明している場合は、ちゃんと内容を理解してレポートを書いている証拠になるため、評価が高くなりやすい
・どんどんと自分の言葉で言い換えて、より分かりやすいレポートになるよう心がけよう
結論
最後に結論部ですが、ここでは全体のまとめを行い、今後につながる課題を示してレポートを閉じます。
全体のまとめは序論でのテーマ設定から始まり、問題提起を簡潔に振り返ります。
どうしてこのようなテーマ設定にし、そこからどのような問題があると考えたのかを示しましょう。
続いてその問題提起に基づいて、本論ではどのような内容を展開したのかを示しましょう。
ここも長々と書く必要はなく、重要な論点だけに的を絞って書くのがコツとなります。
そして本論での議論の結果、どのような結論にたどり着いたのかを再提示しましょう。
以上が結論部における全体のまとめの作り方です。
できるだけ簡潔に、それでいて論旨がわかるようにまとめましょう。
またレポートの最後に、このレポート課題を行ってみて今後取り組んでみたい課題を提示しましょう。
今後の課題をレポートの最後に入れることによって、このレポート課題が有意義であったことを示すことができます。
今後の課題については、参考文献をあたってみて面白そうだなと思う議論だったり、レポートを書いている中で展開しきれなかった箇所などを書きましょう。
レポート課題をこなす中での「気づき」がなにかあれば、最後に盛り込むとうまくレポートを締めやすくなります。
POINT
・自分の主張の再提示も含め、序論から本論にかけての全体のまとめを簡潔に示そう
・レポート課題に取り組んでみて、気づいたことや今後の課題について書こう
レポートのアウトラインを作る
ここまで「序論」「本論」「結論」に関する具体的な構成の仕方を検討してきました。
最後にそれぞれで検討してきた内容を総合してアウトラインを作成していきたいと思います。
まずはノートなり、Wordなりにそれぞれ間隔を空けつつ「序論」「本論」「結論」の3つの項目を作りましょう。
科目ごとにレポート課題が複数ある場合は、一番上に「履修科目名」と「レポートの課題」を明記しておくと便利です。
続いて、ここまでの解説を参考に「序論」の箇所に「テーマ設定」と「問題提起」、「自分の主張」を書きましょう。
次に「本論」ですが、議論の展開の仕方を考えつつ、ある程度まとまってきたら章立てを考えましょう。
議論の展開はできるだけ具体的に考えておいた方がいざレポートを書くという時に役に立ちます。
また参考文献を用いた自分の主張の根拠付けもどのように行うか考えておきましょう。
最後に「結論」では、序論から本論までの議論を要約してまとめておきましょう。
この際、レポートの締めとして、今後の課題になりそうなものも考えておくといいです。
以上をアウトラインとして構造化し、可視化することでより簡単にレポートを作成することができるようになります。
大学生の多くのレポートを見るに、論理性に欠け、非常に読みにくいものが多いです。
是非、論理構造を紙に書き出すなどしてから、レポートに取り組み、わかりやすいレポートになるようにしましょう。
POINT.
・レポートのアイディアが思い浮かんだからといっていきなりレポートを書かずに、紙やWordなどにアウトラインを書き出そう
・論理構造を可視化することで、わかりやすく伝わりやすいレポートを書くことができる
一段落内での展開の仕方
続いて一段落内の展開の仕方について解説をしていきたいと思います。
まず大前提として1段落内の主張は1段落につき1つとなります。
したがって、ある段落内の文章はこの主張がわかりやすくなるように展開される必要があるのです。
そして文章の展開の仕方には多くの方法が存在します。
もちろん、この方法はその段落の主張や引用する参考文献によって適切なやり方が変わってくるのです。
ですから、レポートを作成するとき、その主張を展開するのにふさわしい方法を選び出すことが必要となります。
では文章を展開させる方法にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは文章を展開させることにおいて、基本となる7つの方法について解説を加えていきたいと思います。
その7つとは、1/具体例、2/理由、3/対比・対立、4/概念の説明、5/時系列・過程、6/列挙、7/問題と解決になります。
これら7つの方法をいくつか複合して使い、段落内の文章を展開させていきます。
1/具体例
抽象的な内容や主張を、具体的な例に置き換えてわかりやすく説明する展開方法です。
自分の言葉で抽象的な内容を噛み砕いて言い換えることもこの例に当たります。
例文
[主張] ノビのあるストレートを投げるピッチャーの多くは「回転数」が多い。
[具体例] 例えば、元阪神タイガースの藤川球児投手の回転数は、他の一般的なピッチャーの平均が1秒間に37回なのに対し、1秒間に45回も回転している。
2/理由
段落内の主張に対する理由を示し、主張に客観性をもたせることができる展開方法です。
レポートにおいては多くの段落で使用することになることでしょう。
例文
[主張] 野球をプレーするのに走り込みは必要ない。
[理由] というのも、野球にはランニングでつく持久力は必要ないからだ。
3/対立・対比
2つ以上のものを比較して、その相違点や共通点を明らかにする展開方法です。
議論の中で、ある事柄の優劣を検討する際に使います。
例文
[対比] 松坂世代とハンカチ世代は突出している。
[共通点] どちらもメディアに大きく取り上げられるほど話題性があり、活躍している選手も多い。
[相違点] だが、ハンカチ世代が投打ともに優れた選手が多い一方で、松坂世代は投手陣こそずば抜けているが、野手陣は村田選手以外目立つ選手は少ない。
4/概念の説明
概念の説明とは、抽象的な概念や日本語にない用語などをわかりやすく定義・説明する展開方法です。
レポートを書く上で、自分が考えた概念も説明する必要があり、その場合は自分が考えた概念をかぎ括弧(「」)でくくるようにしましょう。
例文
[概念の提示] 打者を評価する指標として "OPS" というものがある。
[説明] この OPS とは出塁率と長打率を足した値であり、その打者がバッティングにおいてどれだけチームに貢献しているかを示している。
5/時系列・過程
時系列とは出来事を起きた順番に示していく展開方法になります。
物事の道筋や過程を示すときも同様に、その順序にしたがって展開していきます。
例文
[時系列1] まず荻野が初級のストレートをセンターに弾き返し出塁する。
[時系列2] 続く中村が送りバントを決め、ランナーを二塁に進める。
6/列挙
列挙とは複数の物事を一つずつ数え上げ、並べて示す展開方法になります。
事柄の中にどのようなものが含まれているかを示し、その事柄についてイメージしやすくします。
例文
[列挙] プロ野球の球団には選手の他に監督、コーチ、オーナーなどが所属している。
7/問題と解決
最後に問題と解決ですが、これは問題点を段落内の一番最初で提起し、それに対して解答を与える展開方法です。
解答は複数用意することができ、重要なものから順番に書くようにしましょう。
例文
[問題提起] セイバーメトリクスによれば、バントは得点効率が悪くなるというデータが出ている。
[解決] とすれば、2番打者にバントが得意な打者をおくのではなく、長打が打てる打者を置くと得点効率があがるのではないか。
いざレポートを執筆!
ここまで四回に渡ってレポートの執筆方法について解説してきました。
ようやくこれでレポートを書く準備は整ったといえます。
あとは実際にレポートを書くだけです。
これまでの内容をしっかりと確認し、アウトラインを作ってからレポートの執筆に臨んでください。
なお、レポートを書くのが初めてだと言う人は特に、レポートを書くときは【文章ルール・書式編】を参照しながら書くことをおすすめします。
というのも、レポートには独特のルールがあるため、確認しながら書いたほうがルールを確実に守ることができるからです。
この記事がみなさんの単位取得の一助になれたら幸いです。
ここまでお読みくださりありがとうございました。
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