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【文系の院試対策】大学院生にもおすすめ!日本語で読める超ハイレベルな英文解釈の参考書6選【読解応用編+α】

2022年4月23日

記事の内容

  • 研究をする上で学んでおくべきハイレベルな英文解釈の参考書をご紹介
  • 大学院入試対策としてどうか
  • 修士課程の人にもおすすめ

研究で必須の英文解釈力

前回の記事()では「英文解釈応用編」と銘打ち、おすすめの参考書をご紹介しました。

そこで挙げた参考書を学んでいただければ、ほとんどの大学院入試で通用する英文解釈力を身につけることができます

したがって、それ以上のレベルの学習となると実際の話、学習する必要はないと言えます。

ではなぜ今回「読解応用編プラスα」と題して記事を執筆しているのでしょうか。

それは大学院入試ではなく、研究において必要になることがあるからです。

多くの場合、大学院で使用される英文は事前に先生によって手が加えられていることがあります。

つまり、大学院入試では文法的に「正しい」とされる英文に先生が直してくれていることがしばしばあるのです。

しかし、当たり前のことですが、自分一人で英米圏の研究を参照する場合はそのように「正しい」英文に直してくれる人はいません。

文献によっては悪文だったり、クセの強い文体だったりすることが多々あります

したがって、その英文を自力で正確に読解できるような読解力を身につけておく必要があります。

また正確な読解ができないと論文を書く際にも、また研究会で議論する場合にも、他の人と内容の共有ができないといった不都合が生じます。

そのため、どんな悪文であれ、クセのつよい文章であれ、しっかりと文意を把握することができるような英語力の習得が大学院に入学してから求められるのです。

大学院に入って身につけるべき英語力

大学院に入ってから要求される能力には様々なものがあります。

その中でも大きな割合を占めものとして「英文読解」があります。

しかし、英文読解と一言でいってみても、それで要求される能力には様々なものがあるのです。

例えば、英文を文法的に正しく訳出できることと、文章全体の文意を正確に取ることができるのは全く異なる能力を指します。

もちろん前者の積み重ねが後者につながることは言うまでもありません。

ですが、一文一文を正確に訳すことと文章全体の論理を追うことができるのは全く別問題なのです。

大学院では後者を解釈と呼び、その解釈自体が論文になることもあるのです。

また論文に引用する際には既訳をただ引用するのではなく、既訳を参考にしながらも自分で翻訳して引用しなければなりません

その場合、正確に読めるだけでなく、正確に訳出できる翻訳力が必要だったり、翻訳をするに当たっての文章表現力が求められることもあるのです。

以上から英文読解と一口に言っても様々な能力があります。

そして、こうした能力を身につけるためにゼミでの演習があり、そしてそれは訓練することで身につけることができるのです。

日本語で読める「ハイレベルな英文解釈」の参考書6選

以上から大学院に受かるだけではなく、大学院に入ってからの研究を見据えた学習をしなければなりません。

そこで研究者を目指そうと考えている人で英語を研究で扱うならば、是非読んでおくべき参考書をピックアップしてご紹介したいと思います。

以下で紹介する参考書はどれも非常に内容が難しいので、基礎的な学習ができていない場合はまずそちらから学習を始めるようにしましょう。

どれも日本語で読める最高峰のものですし、私自身、実際に利用してみて本当に勉強になったものばかりです。

是非参考にしていただいてご自身に合う参考書を見つけていただけたらと思います。

思考訓練の場としての英文解釈

最も有名なハイレベル英文解釈の本が『思考訓練の場としての英文解釈』シリーズです。

今から40年以上前に出版された本書ですが、いまだに普及の名作として支持され続けています。

英文の難易度が高いのはもちろんのことですが、解説自体も非常に高度です。

曖昧な解釈を排した「解析的アプローチ」でもって英文に切り込んでいき、その解釈の切れ味の良さは見事の一言。

例文も非常に面白いものが多く、読み物としても面白いです。

また古い参考書のためレイアウトはあまり期待しない方が無難です。

大学院生でも英語が得意な人はこの本を読んでいることが多いため、研究で英語を使用する人は一度手にとって学習するべき一冊と言えます。

英文翻訳術

翻訳は何も出版の時だけするものではありません。

未邦訳だろうが、既訳があろうが論文の中に引用する際には翻訳を行うのです。

その際、非常に役立つ参考書が『英文翻訳術』です。

こなれた訳を作るためには英文解釈を学ぶだけでは足りず、しっかりと翻訳技術を学ぶ必要があります。

本書は具体例を用いて英文翻訳の技術を学ことができ、その解説の素晴らしさは著者・安西先生の英語に対する造詣の深さを感じさせてくれます。

また本書は通勤や通学時、辞書がすぐに手に取れなくても読み進めることができるように、英文中に出てくる難しい単語の意味が掲載されているのも嬉しい点です。

安西先生の他の著作もおすすめなので、是非手にとって見てください。

英文解体新書

伊藤和夫先生の『英文解釈教室』で英文解釈を学んだ方におすすめなのが『英文解体新書』です。

『英文解釈教室』の正統な後継本とでもいうことができる参考書で構成が非常に似ています。

解説もSVOCの記号を使って文型解説がなされるなど非常に丁寧でわかりやすいです。

ただ英文自体は非常に難しいもので構成されているため、しっかりと解釈の学習を続けてきた方でないと理解することは難しいでしょう。

しかしながら、引用されている英文はどれも面白いため、楽しみながら学習することができます。

「応用編」の参考書が終わり、次に何を勉強しようか悩んでいる人はひとまず本書を手にとってみてはいかがでしょうか。

思考力をみがく 英文精読講義

自分では読めた気になっていても、実は読めていなかっただなと気付かせてくれるのがこの『思考力をみがく 英文精読講義』です。

本書を読むことで英文を正確に読むとは何かということを教えてくれます。

本書で採用されている英文はそこまで長いものではないのですが、その英文に対し下線部訳や因果関係の説明などが求められます。

そして訳出時に全く自分が意識することができていなかった前置詞や接続詞の役割などから、訳文の不正確さや論理の取り違いが指摘されるのです。

その内容は非常に目から鱗で、本書で学んだことは英語だけでなく、他の言語の文章を読解する際にも役立ちます。

大学院に入学した方で「ゼミになかなかついていけてないな」と感じる人がいるとすれば、それは正確に英文を読めていないことが原因である可能性があります。

そんな時は本書を利用して学習してみると事態が好転するかもしれません。

同じ著者の本で『英語リーディングの探究』というこれまた骨太な英文解釈の本もありますので、本書が終わった方は続けて取り組んでみてはいかがでしょうか。

英語のしくみと訳しかた

大学受験レベルの英文解釈が身につき、次に何を勉強したらいいか悩んでいる方におすすめなのが『英語のしくみと訳しかた』です。

というのも、本書の構成において第一部で短い文章を用いて構造把握をし、第二部でより長い難解な文章読解へと段階的に進むことができるからです。

解説も著者の経験談やエピソードを織り交ぜながらわかりやすく英文解釈の極意を教えてくれます。

またこの本の著者はグレアム・スウィフトなど英国の作家を翻訳している方であり、第二部の「翻訳編」ではどのようにして海外の作家を翻訳するかについての思考プロセスを知ることができます。

したがって、本書は英文学を研究する人にはうってつけの本であると言えるでしょう。

越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文 決定版 

『ダヴィンチ・コード』の翻訳者が出した英文解釈の本がこちらの『日本人なら必ず誤訳する英文』です。

本書の特徴は体系的な英文解釈の本ではなく、翻訳家である著者自身でさえ間違ってしまう英文を取り上げたものとなります。

したがって、他の参考書と併用して学習すべき参考書と言えるでしょう。

また解説も丁寧かつ非常に論理的でとても勉強になります。

読み物としても面白く、翻訳家はこのように考えて翻訳しているのだと考えさせられる内容になっています。

本書以外の越前氏の本もおすすめなので是非手にとって見てください。

修士課程の人にもおすすめ

以上の内容は大学院入試だけでなく、大学院に入った修士課程の方にもおすすめの参考書となります。

というのも、修士課程に入ると演習だけでなく勉強会や研究会などで海外文献を読む機会は非常に多くなります。

もちろん、ご自身が専攻されている学問にもよりますが、さまざまな言語の中でも英語は一番扱われることのある言語であるのは間違いありません。

そのため、正確に英文を解釈できるようにしておくことは多くの大学院生にとってマストなことだと言えるのです。

しかも英文によっては大学受験や大学院入試程度の英語力では太刀打ちできないものもあります。

また場合によっては翻訳の仕事に誘うわれることだってあるでしょう。

博士課程に上がると学会での発表だったり、非常勤講師の仕事だったりと何かと忙しく、なかなか英語力を鍛える時間が取れなくなります。

ぜひ、時間のある修士課程のうちに必要な英語力は鍛えておくようにしましょう。

日本語以外の参考書を探そう

ここまで「超ハイレベル英文解釈」のおすすめの本をご紹介してまいりました。

どれも難解な英文を扱ったもので、日本語で読むことができる最高峰の英文解釈の本たちです。

英語力のある人でさえ手こずる可能性のあるため、必ずご自身の語学力と相談しつつ、必要であれば「基礎編」「応用編」の参考書からはじめるようにしましょう。

難解ではありますが、しかし、その分これらの参考書をマスターした時の恩恵は凄まじいものとなります。

私自身、英語がそこまで得意な方ではありませんでしたが、これらの参考書を読み漁り、他の研究者に遅れを取らない程度には自力を蓄えることができたのです。

英語に苦手意識のある方もめげることなく一歩一歩着実に頑張っていきましょう。

なお、もしこれ以上の内容を学びたいと思うのであれば、日本語以外の参考書を探してみると良いでしょう。

当然ですが、ハイレベルな英文解釈の参考書は海外にもたくさん存在しています。

このレベルまで英語力を高めることができた方なら海外の参考書を扱う自力はついていると思いますので是非チャレンジして見てください。

ここまでお読みくださりありがとうございました。

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